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『さて第3試合!リグッド選手 VS グラシエール選手ーっ!』
賑やかな歓声の中でも、魔法マイクとスピーカーのおかげで司会の声はよく聞こえる。
『ん?このグラシエールという選手についてはまったくデータがありませんね』
当然だ。
こんなに大勢の人間の前に現れたことなどない。
『しかし、彼はここアクリアの武器屋が推す人物です。きっと素晴らしい戦いを見せてくれるでしょう!』
いや、そんなものを求められても困るんだが。
「武器屋に推されるなんてなかなかだな」
「そんなことはどうだっていい。さっさと構えろ」
「まあ待ちな。オレの後ろを見なよ」
「………」
アイリスの背後にナイフを持った男が一人。
「大人しく負けな。でないとどうなっても知らないぜ?」
「愚かな……」
私はアイリスに視線を向けた。
『試合はどちらかがリングアウトか降参するまで。それでは……始め!』
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