Second Day

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  ◇◆◇ 試合が開始する前からずっとグレイサーの視線は私に向けられている。 あくまで相手の剣を受け流すだけのグレイサーに、攻撃に転じる気配はない。 (まさか……) 自分の左側、腰のあたりにナイフがあった。 (趣味が悪い手ね。) 気づいてしまった以上、放置する気にはなれない。 「……サンダー」 詠唱も必要ない雷系初級呪文。 ただし、威力は通常の中級呪文並みに変えてある。 ナイフ目掛けて放たれた電撃は、それを持っていた本人まで瞬時に伝導し…… 「ぎゃああぁぁっ!!」 見事に気絶させた。 「おいおい、嬢ちゃん!何、やってんだ!?」 今頃気づくんじゃないわ、店主。 そこに転がっているナイフで、事情はわかったみたいだけど。 「―――しまった」 「あん?まだ何かあるのか?」 「この男、どうしたらいいのかしら?」 縛るものは持ってないし、このままここに置いておくのも邪魔で困る。 「こいつを引きずって観客席を通り抜けるのは無理だな」 「……リング場外に捨てるのはあり?」 .
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