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――そして、5時間以上の時が流れた。
「さすがね。次に勝てば準決勝よ!」
「……歯応えがなさすぎでつまらん」
あれから3戦を勝ち抜いた。
やはり面倒事がないと、あっさり終わる。
「でも、次の相手は強そうよ?少しは期待できるんじゃない?」
アイリスの言うそいつは、とんがり耳に金髪緑目のエルフだった。
「こんな表舞台に出てくるとは珍しいな」
「店主の話では、この不景気で弓が売れないからだそうよ」
「そこもか……」
厳しい現実だ。
鎖国状態の我が国は流通そのものがないため、全然影響がないが。
「ほう……近接用に剣も持っているんだな」
基本的に事なかれ主義のエルフにしては珍しい。
狩猟用に弓を使っても、剣を握るのはあまり前例がない。
「嬉しそうね。でも、油断は禁物よ」
「たかだか百年過ぎただけのエルフに敗れる私ではない」
魔王としてのプライドもあるが……
自分の妻の前で恥をさらすなど、カッコつかないではないか。
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