Second Day

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「……男にそんな熱視線を向けられても嬉しくないんだけど?」 「ああ、すまない。エルフが珍しくて、ついな」 我ながら悪い癖だ。 「……珍しいのはあんたの方だと思うけど」 「そうか?」 「とぼけるな。何が目的なわけ?」 どうやらこのエルフは私が魔族だと気づいているらしい。 面倒なことだ。 悪巧みとは無縁の私だというのに。 「……妻と新婚旅行に来て、成り行きでこうなった。それだけの話だ」 「妻?」 「私の後ろの観客席の最前列にいるだろう?」 声高らかにグラシエールと応援するアイリス。 どう見ても私側の人間だ。 「あれ、人間だろ?少し魔力が強すぎるみたいだけど」 「だが私の傍なら、そんな些細なことを気にする奴もいない。人間は奇抜なものを嫌う者が多いからな」 アイリスの力は味方なら有益だが、敵ならば驚異でしかない。 人間は恐怖とみなしたものを隣人にはできない。 実際は知らないが、アイリスは城に軟禁状態に近い扱いを受けていたらしい。 公務として外に出る時だけが、残された自由だったと聞く。 それだけ不自由な生活を送っていて、アルフレッドとの婚約話の登場。 本人の意思を無視しすぎにもほどがある。 アイリスでなくても何かしら反発したくはなるな。 ……もっとも、今では自由すぎる気もするが。 「ふーん……。ま、妻がいようがいまいが、手は抜かないよ」 相手が弓を構えた。 お喋りはここまでらしい。 「その言葉、丁重にそちらに返してやろう」 .
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