Second Day

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試合開始の合図と共に、矢が飛んできた。 速い……が、先手必勝は決めさせん。 「驟雨!」 その名のように大量の矢が激しく降り注いできた。 『おおっと、グラシエール選手!逃げ場がないぞ、どうする!?』 「………」 魔力の使えない今。 私に残されているのは闘気のみ。 「真空破斬!」 自分の頭上の空間を神速の剣で斬る。 斬られた場所は一時的に真空状態となり、元に戻るために周囲のものを引き寄せ始める。 「何っ!?」 私に着弾するはずだった矢は、全て一ヶ所に引き寄せられていった。 あとは…… 「はあっ!」 剣圧でそれらの矢を木っ端微塵に変えれば終了だった。 「攻撃は最大の防御、だな」 追い討ちらしい正面からの矢を剣で叩き落としながら、間合いをつめていく。 「ならぁっ!」 今度は3方向に同時に射ってきた。 確かに横にかわすのは難しいだろう。 「上ががら空きだ」 上空を取った時点でちょうど私の間合いだ。 「空衝破っ!」 剣圧が刃のような形をもってトレイルに向かう。 基本的な技ではあるが、なかなか重宝する衝撃波による打撃攻撃だ。 しかもその後ろには私がついている。 これが決まれば私の先制だ。 (いけるか?!)  ――ガキィンッ!! 響いたその音は剣がぶつかりあう音。 「そう簡単にはいかないよ。」 弓を引いていたトレイルの右手には、先程まで腰に差していた剣があった。
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