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「やれやれ……強い術の発動を感じたと思えば、やっぱりか」
屋上で気を失ったアイリスを見つけたのは、金髪に赤い瞳の男だった。
顔にかかった彼女の髪をそっと払ってみるが、反応がない。
無事を確かめようと頬に手を添えた。
「……うん。ただの疲労だ」
明日の朝には目が覚めると思われるが、このまま置いていくのは彼のプライドが許さない。
近くに転がっている杖を回収し、アイリスを抱き上げる。
そのまま屋内に入ると、彼は破壊された扉を魔力であっという間に直した。
何事もなかったかのように南京錠も修復され、この場で起こったことを証明できるものは何一つなかった。
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