Third Day

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「とにかくアクリアにはお前の目が光らせてあるんだな?」 「あくまで魔力の感知のみだけどね。人間が犯す事件まで面倒は見れないよ」 「ああ、そんなものもあったか……だが十分だ」 人間が我らに解決できない問題を起こすとは思えん。 「……グレイサー。一つ忠告しておくけど、トーナメントで君は……」 「アルフレッドには勝つな。そう言いたいのだろう?」 少し考えればわかる。 アルフレッドに勝ってしまえば、自分は勇者以上の剣の使い手として人々の注目を浴びることになる。 そうなれば各国がこぞって、自分の素性を洗い始める。 素性を調べさせるわけにはいかない。 自分は魔族の王だ。 人々に恐れられる魔王だ。 魔王が人間に化けて街に出ていると知られれば、大混乱になる。 悪くすれば、空も大地も血に染める大戦争が起こりかねない。 「それならいいけど。私はこれで失礼するよ」 「ああ」 マーシーの忠告はもっともだ。 だが、私とてタダでアルフレッドに勝ちを譲ってやるほど人ができてはいない。
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