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◇◆◇
「――ん……」
「目が覚めたか、アイリス」
「グレイサー……?」
どうやら記憶が混乱しているらしい。
無理もない。
アイリスからすれば、知らないうちにベッドで寝ていたのだから。
「昨日、そなたは私の正体を隠すために魔術を使って倒れた」
「たお、れた……っ!?」
ガバッと起き上がって眩暈を起こすあたり、完治というわけではないようだ。
やがて治まったのか、早々に水を要求するあたりはさすがだが。
「……試合は?」
「ああ、ちゃんと今日も出場決定だ」
「時間、大丈夫なの?」
そんな心配をされるとは思わなかった。
というか、こんなしおらしいアイリスも珍しい。
「私の心配はいいが、それ以上に自分を大事にしてほしいが」
「……ごめんなさい」
そこでどうして謝るのだ……まったく。
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