Third Day

6/40
前へ
/117ページ
次へ
  ◇◆◇ 「――ん……」 「目が覚めたか、アイリス」 「グレイサー……?」 どうやら記憶が混乱しているらしい。 無理もない。 アイリスからすれば、知らないうちにベッドで寝ていたのだから。 「昨日、そなたは私の正体を隠すために魔術を使って倒れた」 「たお、れた……っ!?」 ガバッと起き上がって眩暈を起こすあたり、完治というわけではないようだ。 やがて治まったのか、早々に水を要求するあたりはさすがだが。 「……試合は?」 「ああ、ちゃんと今日も出場決定だ」 「時間、大丈夫なの?」 そんな心配をされるとは思わなかった。 というか、こんなしおらしいアイリスも珍しい。 「私の心配はいいが、それ以上に自分を大事にしてほしいが」 「……ごめんなさい」 そこでどうして謝るのだ……まったく。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

281人が本棚に入れています
本棚に追加