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―――と、どうやらグレイサーとアルフレッドが出てきた。
「「L!O!V!E!L・O・V・E!グラシエール様~!」」
「っ!?」
(今の……どこから……?)
聞き捨てならない声援が耳に入ってきた。
正直、ファンがつくなんて考えていなかった。
目を皿のようにして観客席をくまなく探す。
その間に、昨日にはなかった応援旗を見つけたりと想定外の弊害がどんどん明るみになっていく。
(個人情報を秘密にしたのは間違いだったかしら……)
出身も、年齢も、全てが謎の美形剣士。
しかも強い。
きっとそれらがミステリアスな魅力だと勘違いさせているに違いない。
(それにしても……世間一般の人間は、好意をこんな公の場でストレートに言葉にするものなの?)
自分では考えられない。
面食らったと言ってもいい。
臆面もなく「好き」とか「カッコイイ」とか言える彼女たちが羨ましいし、恨めしい。
(私も、ああいうふうに大声張り上げて応援するべきなのかしら?)
しかし、あんな黄色い声の一部にはなりたくない。
かといって、ド派手に魔術を使って目立つつもりもない。
「……嬢ちゃん。もしかして兄ちゃんの応援に妬いてるのか?」
「え?私、まだ何も焼いてないわよ?」
「違う、違う!嫉妬してるのかって意味だよ。」
「嫉妬……」
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