281人が本棚に入れています
本棚に追加
大きすぎる力はそれだけで争いを呼ぶ。
それを身をもって知ったのが700年前の魔人戦争だ。
あの時は王国と帝国が手を結び、人間と魔族との全面戦争が起こった。
数の暴力に追い詰められ、私は魔族としての破壊衝動を抑えられなくなった。
そこからの記憶はない。
剣がオリハルコン製ということもあり、ただでさえ強力な力がさらに強化されていたという。
暴走する私を止めたマーシーが言っていた。
私が正気を取り戻した時、そこはもはや戦場ではなくなっていた。
残されたのは生命力が失われた何もない大地。
私の力の強さを証明するかのように、未だそこには草一本生えてこない。
あれを繰り返さぬよう、私が選んだのは自分の力を削ぐことだった。
とはいえ、私自身の魔力を失うわけにもいかない。
自分の本来の剣を厳重に封印する以外なかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!