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「大人しくしてな、嬢ちゃん。あいつから賞金を譲ってもらうための人質とはいえな」
「昨日、私の旦那に初戦敗退した三下のくせに……」
「三下言うなっ!自分の状況がわかってんのか!?」
「わかってるから逃げないし、残された最後の武器に頼ってるんじゃない」
私は今、杖を取り上げられ、手足を縛られている。
おかげで動かせるのは頭と口くらい。
「誘拐犯なら誘拐犯らしく、人質の文句くらい静かに聞きなさいよ」
杖は確かに奪われたけれど、魔術が唱えられなくなったわけじゃない。
猿ぐつわを私につけなかったこいつらが悪い。
(――さっさと助けに来なさいよ、グレイサー)
でないと、惨状をつくってでも自力で脱出するからね!
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