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「……あ!」
夜なのでわかりにくいけれど、月と木が見えた。
つまり出口。
「―――逃がさん!」
「げっ!?」
まだ距離はあるものの、ついに捕捉されてしまった。
(早く外に出ないと!!)
そして洞窟の入口を塞ぐ。
自分が助かるにはそれしかない。
「あと少し……っ!?」
どうやらあちらは本気で私を消すつもりらしい。
威力こそ抑えられているけれど、走りながら魔法弾を撃ってきた。
「っ、アクセラレート!」
加速魔法を自分にかけると、重苦しい足が軽くなった。
でも体力的にはキツイ。
(出られた!!)
大技を詠唱する暇はない。
ならば……
「ブラストっ!!」
初級爆裂魔法を無差別に連発し続けた。
やがて、ずず……ん、と大きな音が響き、手を止める。
「やっ、た……?」
土煙の中から現れたのは、塞がれた洞窟の入口だった。
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