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「…であるからして――」
少し頭の寂しい校長の話はもうすでに10分を超えたが終わる気配は全く無く、回りの皆はとっくに話を聞いては無いようだ。私もその一人であった。
今日で卒業なのかあ… 入学した時はこんなに寂しいと思うようになるなんて思わなかったな。
ふと右斜め前の方にいる茶髪が見えた。眠たいのか、もうすでに夢のなかなのか、こっくりこっくりというように船を漕いでいる彼を見ていると自然と笑いが出た。
昨日はまた夜更かしでもしたのかな?
夜更かしして騒ぐ姿を想像してまた笑みが出てきた。
あ、回りから見たら私変な子じゃないですか。いけないいけない。一度顔を下に向けて、顔の緩みを直してからもう一度彼の方に顔を向け、覚悟を決めた。
卒業式が終わったら彼に伝えようと――
貴方が好きだと。
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