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「…卒業おめでとう!」
見事に飛んでいた意識を覚醒させ、ふと気付くとナイスミドルな校長の話が終わっていた。
やべ… ヨダレ出てんじゃん。
汚いと思いつつも、制服の袖でヨダレを拭う。前を見ると、どうやら次は来賓の話だそうだ。卒業式が終わるのはまだまだ先のようだ。長々と話をされると集中力というものは途切れるものなので、キョロキョロと回りを見ていった。
うわっアイツもう既に号泣かよ…早いだろ…
四つ横の方にいる、親友と呼べる友人の顔はひどいものだった。
ふと後ろの方を向くと、彼女と目があった。ニコッと笑うと彼女も笑ってくれた。黒髪のロングヘアーに、ぱっちりとした目。最初は誰も気付かなかったが彼女は大分美人だ。照れか嬉しいのか、多分どっちもな気持ちせいで顔が赤くなるのは自分でもわかった。
すぐさま前を向き、赤くなったのが回りにバレないよう下を向いた。
あの笑顔は反則だ。でもあの笑顔が一番好きな事を自覚している分、余計にタチが悪い。
そして覚悟を決めた。
今日こそ彼女に自分の想いを伝えようと。
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