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卒業式が終わり教室に戻る最中、私は彼との初めての会話を思い出していた。
―――
小学校、中学校と私にはあまり友達は出来なかった。人付き合いが苦手らしい私は、大半の時間を本を読んで過ごしていた。だから、
高校もそんな風に過ごすんだろうな。
と、思っていた。だけど高校生活に憧れはあった。体育祭を思いっきり楽しんだり、学園祭で皆と協力して凄い良いものにしたり、生徒会なんかに入って学園を良くしていったり。そして良い人と出会って…恋…なんかをしてみたり。
だけど私にはそんな度胸も無いし無理だと思っていた。
「あれ?それってYUMOの小説?」
いきなり話しかけられた私は、驚きつつ顔を上げた。
第1印象は茶髪だった。きっと私が関わることが無いような人に話しかけられて、しかもそれが小説の事なんて、二度驚きだ。
「えっと…どうした?」
いつまでも返事を返さない私を心配してか、彼はもう一度話しかけてきてくれた。
い、いけない!ちゃんと返事しなきゃ!
「あっ!…そうだよ?」
少し裏返ってしまい、恥ずかしい。だけど彼はにこやかに笑い、
「俺、その人好きなんだ」
と、言ってくれた。
「わっ私も!!」
私は嬉しくなり、少し声が大きくなってしまい、またそれが恥ずかしかった。
「おっ!一緒だね!この人の小説って…「おーい、授業始めんぞー、席に着けー」
丁度よく担任の先生が入ってきて、話しは終わったが、彼が「また後でね」と言ってくれたので、少し嬉しい気持ちで授業を過ごしていった。
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