貴方へ

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俺には親友がいる、この目の前にいる憎たらしい奴。いつも飄々としていて周りを巻き込んでの馬鹿騒ぎをする迷惑な奴。・・けれども人の気持ちに敏感な奴、周りに常に気を配っているような優しい奴。そんな俺の誇るべき親友。 きっとこいつがいなければこんな楽しい学園生活は送れなかった、そう断言できる。 扉に背を預けていた親友が、歩いてくる。卒業式の雰囲気にやられてしまったのだろうか?言葉なんて要らない――そんな風に思ってしまうのは。いや、そうに違いない。通りすがりに肩に手を置かれたそのときに―頑張れよ―そんな言葉が心に聴こえた。なんて馬鹿みたいなことは思わないから。 扉を開けて屋上へと出る。 きっと彼女はここに来るという確信を持って俺は彼女を待つ。  
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