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クライシスが入った部屋にいたのは、ラングの町長だった。
「おお、占い師殿!」
「今日は警告に参りました。あなたに破滅の未来が迫っています」
「な、何っ!?」
いきなり自分の未来に暗い影を落とす言葉に、町長は慌てふためいた。
机を“ダンッ!”と叩いてイスから立ち上がる。
今までどれだけ彼女の占いに世話になったのかは不明だが、完全に町長はクライシスを信用しきっていた。
クライシスの声は相変わらず無機質で、媚びているわけでもない。
だが、そのせいか妙に占いの結果に信憑性を持たせていた。
「何か……何か手はないのか?!」
「対応策はあります。ですが、そのためにはあなた自身が動かなければなりません」
「それで解決するなら良い」
その言葉に安心しきった町長は、ドサッと深くイスに腰掛けた。
「そなたに任せておけば人生安泰じゃ!」
ガハハ……と高笑いする町長を尻目に、クライシスは窓の向こうの景色を見た。
(……ジェイド・シュトラスブルグ。彼に与えられた運命は――)
クライシスの水晶玉に映されていたのは、タロットの“死神”のカードだった――
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