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「俺さ、ずっと魔法使いってやつに憧れてたんだ」
真っ暗な空に沢山の星
まるで魔法の世界に迷い込んだかのような景色の中で、アイツは笑いながら言った
「バカみたいだろ?でもさ、ホントに憧れてたんだ・・・」
その自嘲気味な笑みに、あたしはなんて言えばいいか解らなかった
思えばアイツは、そうやって自分の存在を嘲笑うかのような節があった
他人には自分の価値を大切にしろって言ってくるくせに、矛盾してんじゃん
「・・・アンタはさ、後悔してないの?」
「ん?なにが?」
「・・・」
とぼけるアイツに、あたしは下唇を噛みしめることしかできない
いつからだろう?
あたしがこんなに弱くなってしまったのは?
そんなあたしを見かねたアイツの笑顔が、やっと優しいそれになった
「冗談だって、そんな泣きそうになるなよ。う~ん、そうだな」
アイツは立ち上がり、満点の星空に向かって手を伸ばす
その姿は、まるで星に魔法をかける魔法使いのようで・・・
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