プロローグ

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「最初は、戸惑った・・・」 困ったようなような声 まあ、そうよね・・・ あのときのアイツはすごく戸惑ってた 「そして、怖くなった・・・」 アイツは今までのことを思い出しているようだった あたしは座ってるからその表情を見ることができない 「なんで俺なんだろう?って思った時もあった・・・」 アイツはいま、どんな顔をしてるんだろう? 泣いてる?怒ってる? だとしたら、あたしはアイツにどんな顔をすればいい? 「でもさ、最終的には良かったと思うんだ」 でも・・・振り返ったアイツは、あたしが想像してたどんな表情もしていなかった あたしはその顔を見て、不覚にも涙を堪えきれなずに泣いてしまう 「俺は、後悔してないよ」 アイツは、笑顔だった 一片の曇りのない笑顔が、悔いなんか一つもないことを証明している 「だから・・・泣かないで?俺は大丈夫だから」 泣いてるあたしの頭に、アイツの手が触れた のぞき込まれるその顔が、涙で滲む 「俺は、生まれたことに後悔しない」 そして、アイツは・・・
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