動き出す悪

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目の前でクラスメイトが横たわっている。 口から血を流し、手足はあらぬ方向に曲がり、そのまま放っておけば数分で消える命。   (素晴らしいわタケル。人生に悲観して、あなたの夢は砕かれた。私はあなたを知っている。だから私があなたに夢を与えてあげる。)   綺麗な笑顔で。 見る人を魅了する笑顔で。 只の肉塊になっていくクラスメイトを見つめていた。   「あ、あんた何笑ってんだよ!?やべぇどうしよ!絶対死ぬよこれ!」 猛を轢いた運転手が取り乱していた。 猛に助けられた子供はキョトンとしている。   「騒がないで鬱陶しい。あなた、このお金で車をすぐ修理しなさい。出頭しなくても良いわ。いえ、しては駄目よ。」 「な…に、言ってんだよ…このままじゃコイツ死んじまうよ!?」   やれやれといった感じでカトリーヌは言う。 「それで良いのよ。」 一言そう言って、携帯を取りだし電話をし始めた。
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