災禍

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「やめなさい!」 カトリーヌは吼える。 静寂がクラスを包む中、担任の西村が現れた。   「席付けよーって…何やってんだお前ら?」 眠たげな目を猛達に向ける。 「チッ…何でもねぇっすよ。」 諦めたのか手を離し、自分の席へと戻っていく。   「私達も席に着きましょ?」 「うん…」 朝から気落ちして、猛の足取りは重かった。   席に着き、出席を取る担任。 去年と同じクラス。 しかし、自分の周りは変わってしまった。 知らないクラスメイト、喋った事もない先生、敵意を向ける少年。 そして、自分を知っていると言った少女。 一年前とは全く違う。 まるで、自分が異世界に迷い込んだかのように。   それでも猛は歩き続ける。 決して後戻りは出来ない。 する気もない。 自分はヒーローだから。 力を持っているから。
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