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猛は興奮していた。
今から向かう先は殺し合いの場。
しかしヒーローになって戦うという、夢が叶う喜びの方が勝っていた。
大通りに出る。
辺りには車が走っているが、グリフォンはあり得ない速度で車を抜き去っていく。
不思議と怖さはない。
グリフォンが戦場へと必ず導いてくれると信じているから。
しばらく走るとオフィス街に出ていた。
(ここに怪人が…父さん達の仇が…)
自然と手に力が入る。
「っ!?グリフォン!」
猛が見た先。
爬虫類の様な表皮。
毒々しい舌。
人など簡単に引き裂いてしまう爪。
真っ赤な目。
怪人。
それが小さな男の子の前に立っていた。
傍らには体が上下半分に別れた女性の死体。
母親だろうか。
男の子は何が起こったのか分からず呆然としている。
怪人は爪から滴る血を舐め、男の子を見る。
目を細めて、笑いながら。
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