災禍

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振り上げられる爪。 あの小さな体は何も出来ずに引き裂かれるだろう。 真っ赤な血を噴き出しながら、ただの肉塊になるだろう。 腕が振り下ろされるその瞬間。   ヴォォォォォァァァアアアア!!! 鋼鉄の叫び。 「ォォォォオオオオ!!!!」 魂の叫び。   猛は時速270キロの速度から無理やりグリフォンのフロントを持ち上げウィリーをする。 そしてそのまま怪人にぶつける。   猛は男の子から少し離れた所で止まった。 『お見事です、マスター。』 「やってみるもんだね。」 吹き飛ばされた怪人はまだ起きあがらない。 猛は襲われていた男の子を見た。   「君は…」 猛が事故から救った子供。 またしても猛は子供の命を救ったのだった。   「お母さんが…動かないの…動かないの…」 ボロボロと涙をこぼしながら訴える。 猛にはどうしようも出来ない。 慰める事も、泣きやませる事も。 出来る事は一つ。 怪人を殺す事だけだ。
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