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恐る恐る男の子は災禍に剣を手渡す。
「良い業物じゃないか。」
そう呟くと、再構築し始める。
出来上がったのは剣。
男の子から渡された剣と同じ形の両刃の刃。
ただ違うのは、殺傷能力と子供が持つには大きすぎる点だ。
「蜥蜴野郎。悪いがもう終わりだ。」
縫いつけられた怪人に向かって災禍は呟く。
「ナゼ邪魔ヲスル。我等ハ間違ッタ事ハシテイナイ!」
「知るか。さっさと死ね。」
動けない怪人を頭から股先にかけて剣を走らす。
怪人は左右対称に別れ、死んだ。
死体はドロドロの液体になって瞬時に固まり、粉となって消えた。
災禍は男の子に歩み寄る。
「コイツは返す。」
しかし再構築出来なかった。
《災禍といったか。再構築した物は、再再構築は出来ないぞ。》
狐の声が響く。
「チッ…初めに言えよ。しゃあねぇか…」
災禍は剣に合う鞘を作り、それに納めた。
「悪ぃな、これで勘弁してくれ。」
そう言って、剣を男の子に渡した。
子供が持つには不釣り合いな玩具の剣。
仇を討った正義の剣。
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