憧れの代償

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そこに映るは猛。 変身と叫び体が光に包まれた。 一瞬の閃光。 光が徐々に薄らいでいき、現れたのは先ほどの閃光を飲み込むほどの黒。   猛の変身した姿。 猛は食い入るように見つめる。 「これが僕…」 ヒーローになった姿。 しかし、一片たりともヒーロー然とした姿ではなく 「これじゃ悪役だ…」   画面の中で戦闘が始まった。 圧倒的な暴力。 一方的な破壊。 周りにいる市民もお構い無しに、戦闘と破壊と殺戮を楽しむ黒。   「何だよ…これ。」 震えながら、手の平を握り込む。 再構築した巨大な槍を投げつける場面。 男の子から玩具の剣を受け取る場面。 その剣で怪人にとどめを刺す場面。   「こんなの、ヒーローじゃない!」 叫んだ。 「何なんだよ!僕はヒーローじゃないのかよ!?これじゃどっちが悪なのか解らないよ!」 立ち上がり三人を睨みつける。   「いつまで夢物語を追い続けるつもり?」 カトリーヌの一言。 今まで見た事の無い冷たい眼差しが猛に言葉を吐かせなくした。
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