憧れの代償

8/10
前へ
/64ページ
次へ
(感情に身を任せて出てきたは良いけど…手ぶらじゃ何も出来ないな…) 携帯も財布も全て置いてきてしまった。 そこまで頭が回らなかったのだった。   (いいや…夜中になったら、こっそり荷物を取りに行こう。)   沈んだ面持ちで河川敷を歩いていると 「大和ぉー!」 横から猛を呼ぶ声がした。 声のする方に目を向けると 「お前、早退したんじゃなかったのかよ。」 呆れた顔で友基が近づいてきた。   (あ…そういえば…)   「ダブリだからって授業に余裕こいてると、足元掬われんぜ。」 「あはは…そうだね。」 友基は怪訝な顔をし 「なんかあったか?」 (…友基は良い奴だね。) 猛は心中で友基に感謝した。   「いや、何でもないよ。友基こそ、何でこんな所に?」 「こんなとは酷いな!…ここなー…俺の現実逃避スポットなんだよ。まぁ、お気に入りの場所ってやつ。」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加