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「いえ、そんな。あたしが悪いんですよ。電気もつけずにウロウロして、勝手に驚いただけだから」
「あは、ウロウロだなんて」
あたしの言葉に、沙羅さんは微笑んだ。
「でも、本当に、こんな時間にどうしたのりおちゃん」
首を傾げる沙羅さん。
……う。
それは……。
チラリとヒロ兄に視線を移す。
ヒロ兄は涼しげな顔であたしを見返している。
「……ちょ、ちょっと……」
曖昧に言葉を濁すと、気のつく沙羅さんは「あ」という顔をした。
「うん、まあ、別になんでもいいわね」
うふふ、と若干ぎこちなくあたしたちは笑い合った。
それを見守る、ヒロ兄の無言の視線が痛い。
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