ブラザーズ!

95/122
前へ
/289ページ
次へ
「いえ、そんな。あたしが悪いんですよ。電気もつけずにウロウロして、勝手に驚いただけだから」 「あは、ウロウロだなんて」 あたしの言葉に、沙羅さんは微笑んだ。 「でも、本当に、こんな時間にどうしたのりおちゃん」 首を傾げる沙羅さん。 ……う。 それは……。 チラリとヒロ兄に視線を移す。 ヒロ兄は涼しげな顔であたしを見返している。 「……ちょ、ちょっと……」 曖昧に言葉を濁すと、気のつく沙羅さんは「あ」という顔をした。 「うん、まあ、別になんでもいいわね」 うふふ、と若干ぎこちなくあたしたちは笑い合った。 それを見守る、ヒロ兄の無言の視線が痛い。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14770人が本棚に入れています
本棚に追加