ブラザーズ!

97/122
前へ
/289ページ
次へ
笑いをこらえるように、拳をつくって口元を押さえながら、ヒロ兄はあたしを見下ろす。 「……なんつーかね。お前ら、あれで上手くごまかせたと思ってんのかなーって思ったら、ちょっと笑えた」 「え……」 ヒロ兄は、ニヤリと口端を上げて微笑んでいる。 ヒロ兄が言っているのは、さっきのあたしと沙羅さんのやりとりのことだろう。 やっぱりあたしたちの態度は不自然だったよね。 「……えーと」 けれど、今のところヒロ兄がどこまで気づいているのか分からないから、下手なことは言えない。 探り探り、上手くごまかさなければ。 と、気合いを入れた矢先。 「安心しろよ。俺は兄貴みたいに、りおの彼氏にいちゃもんつけたりしねえから」 すでに、お見通し!? 「え?な、なんのこと?」 それでもとぼけるあたしは、自分でもかなり苦しいと思う。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14770人が本棚に入れています
本棚に追加