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そんなあたしの態度を見て、ヒロ兄はまたおかしそうに口元を緩めた。
「携帯のバイブが鳴った。嬉しそうに寝返りをうってメールを送った。その直後、また振動する携帯を握りしめて、ソワソワ部屋を出て行った」
突然、珍しくペラペラと喋り出すヒロ兄。
あたしはヒロ兄をぽかんと見つめた。
こ、これは、先生からメールが来てからの、さっきのあたしの行動?
「お、起きてたの?ヒロ兄……」
あたしの恐る恐るな質問に、ヒロ兄は答えることはなく微笑むばかり。
けれどこの笑みは肯定の意味だと、長いつき合いのあたしには分かる。
「そうか。りおにもとうとう彼氏ができたか」
「ヒ、ヒロ兄~」
改まって言われるとすごく恥ずかしい。
あたしは赤くなった頬を隠すように両手で覆った。
「良かったな」
そんなあたしを目を細めて見つめながら、ヒロ兄はささやいた。
あたしは頬を覆ったまま、ヒロ兄をチラリと見上げる。
「……うん」
お兄ちゃんとこういう話をするのは初めてで、なんだか照れ臭いけれど。
あたしは小さく頷いた。
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