ブラザーズ!

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嵐が去った。 この言葉がぴったり。 翔兄とヒロ兄の姿が見えなくなると、あたしは途端に寂しさにおそわれた。 昨日から今朝まで、怒濤の勢いで過ごしてきたけれど、思い返せば賑やかで楽しかった。 部屋に戻ると、その静けさがやけに気になる。 昨夜はお兄ちゃんたちがいた部屋。 やけに広く感じて、物悲しさがこみ上げて、じわりと涙が滲んだ。 ホームシック? 音のない部屋がますます孤独感を増長させる。 あたしはエレキピアノを取り出し、暗譜している曲を何曲か弾いて気を紛らわした。
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