ブラザーズ!

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あたしの即答に、先生は一瞬怯んだようだったけれど、すぐに笑顔に戻る。 「つっても、外食じゃねえんだけど」 先生はそう言って、ひょいと廊下に出た。 後に続くようにあたしも廊下に顔を出す。 「お前、オムライス好きっつってたよな」 廊下に置いていた鞄の中から、先生はガサゴソと何やら取りだしている。 「うちの実家の近くにオムライス専門店あるんだけど。テイクアウトもできるから、買ってきた」 かわいらしいピンクのドット柄のビニール袋が現れる。 「あたしのために買って来てくれたんですか?」 「……ま、お土産っつーことで」 少しぶっきらぼうにそう言って、先生は歩き出した。 「リビングで食おう。ちょっと冷めたから、レンチンだなー」 スタスタと歩き出す先生を、慌てて追いかける。 何でもないことのようにサラリと言った先生だけど、あたし、嬉しくて飛び跳ねたい。 あたしのために、買って来てくれたんだ。 オムライスが好きと言ったことを覚えていてくれて。
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