ブラザーズ!

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「……なに」 あたしの視線に気づき、先生は食事の手を止めた。 「あ、いやあ……おいしそうに食べるなあと思って」 えへへ、と笑いながら答えると、先生はフンと鼻で笑う。 「お前に言われたくないけどな」 「えー?あたし、おいしそうに食べてます?」 「そりゃもう。目ぇキラキラさせて頬赤らめて」 うんうん。 あたしは先生の言葉に相づちを打った。 「よだれもキラキラさせて鼻息荒げて」 うんう……なっ、なんですと!? 危なく頷くところだった。 「両手に食いモン持って、もうこれでもかってくらい口いっぱいに頬ばって……」 「ちょっと、先生!」 まだまだ続くと思われた先生の話を勢いよく遮った。 「なんですか、それは!あたし、そんなんじゃありませんっ」 キッと睨みつけると、先生は面白そうに笑っている。 こんな時の先生は、からかいモード全開。 「大体両手で頬ばるとか、すごい食いしん坊みたいに……」 自分で言いながら、両手に食べ物を持ってガツガツしている姿を想像したら、悔しいことにちょっと面白かった。 「……ふっ」 思わず笑いが漏れる。
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