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「結城、拗ねるな」
しつこく頬を膨らませ続けるあたしに向かって、おもむろに先生は腕を伸ばした。
そのまま頬を先生の手で挟まれたかと思うと――
「ぷすっ」
両頬を押され、マヌケな音を立てて空気が抜けた。
「ははっ、タコ」
頬を挟まれたせいで口がひょっとこみたいに尖ったあたしを見て、先生が笑う。
タ、タコって……。
文句を言おうと思ったあたしは、けれどうまく喋れない。
先生がいまだに頬を挟み、ふにふにと押しているから。
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