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せ、先生、離して……と言おうとするけれど、頬を挟まれているからうまく話せない。
そのうち、両頬を挟んでいた先生の指は、あたしの左頬に移動して、そこをムニッとつまみ始めた。
「やっけー。餅みてえ」
先生は楽しそうにあたしの左頬をつまんでいる。
も、餅って……。
どうせ丸顔ですよ。
「へんへー!いひゃい!」
キッと睨んで声を張る。
先生はハハッと笑って手を離した。
「悪い、悪い。お前のほっぺが、あまりに気持ち良くて」
それって褒めてるの?
あんまり嬉しくはないのだけど。
先生につままれた左頬をさすりながら、あたしはふん、とそっぽを向いた。
「結城、機嫌直せって」
先生が、優しく語りかけてくる。
これは、あたしの気のせいではないと思うのだけど。
最近……、気持ちが通じ合った、あのクリスマスイブの日から。
先生は、なんだか甘い。
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