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「じゃ、また明日な」
「はい」
2階の廊下。
先生の部屋の前。
先生は入口のドアに背を向けて、あたしと向かい合うように立っていた。
「お仕事、頑張ってくださいね!……もし、なんだったらあたし何かお手伝いでも……」
そう言って、先生の部屋を覗き込むように背伸びをするあたしを、先生は苦笑いで制した。
「いや、ないから。お前に手伝ってもらうようなことは」
……ですよね。
試しに、言ってみただけ。
けれど少ししょんぼりするあたしを見て、先生は静かに笑ってこう言った。
「……お前、よっぽど俺と一緒にいたいんだな」
「……なっ!?」
そ、その通りなんだけど。
ごまかしようのないくらい、その通りなんだけど。
改めて確認するかのように言われるととても恥ずかしくて、あたしの顔の熱は一気に上昇した。
「で、すぐ赤くなるし」
照れるあたしにさらに追い打ちをかけるかのような先生の言葉。
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