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……あー、やっちまった。
せっかく今まで抑えてきたのに。
結城の吐息を感じて、少し、理性的な自分が戻ってきた。
落ち着かせるために、フウ、とため息をついた。
「……今までの我慢が、水の泡だな」
散々ごまかしてきた俺の本当の気持ちも、結城には伝わっただろう。
こうなったからには、腹をくくる。
気持ちが通じ合って、はいめでたし、という関係じゃないからな、俺たちは。
そんな風に心の中で気持ちを引き締めていると……。
「せ、先生は……」
戸惑いと嬉しさの混ざったような表情で、結城が俺の目を見つめてきた。
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