バック・トゥ・ザ・クリスマス

22/32
前へ
/289ページ
次へ
せっかく離すことができたのに、また抱き寄せたくなるじゃないか。 自分の気持ちを落ち着かせるように、俺は結城の頭をポンポンと撫でた。 「今日はもう遅いから、部屋に戻れ」 そう言うと、結城はすごい勢いで顔をあげた。 顔いっぱいに、あからさまな落胆の色が広がっている。 ほんと、こいつはなんでこんなに分かりやすいかな。 ここは俺がしっかりしないと。 吹き出しそうになるのをこらえて、俺は表情を引き締めた。 「そんな顔してもダメだ。ただでさえお前は夜遊び癖があるからな」 そう言ってリビングから出るよう促すけれど、結城はもう少し、と粘ってきた。 俺の腕にしがみつき、すがるような瞳で見上げる。 ……う。 そんな目で見つめるな。 努めて冷静に結城の腕を引き離し、ダメだと告げると、今度は唇を尖らせて俺を睨んできた。 ……うん、拗ねてるんだな。 「そんな拗ねた顔してもダメ」 容赦なくそう言うと、結城は面白くなさそうに、眉間にシワを寄せた。 「……けち!」 ……あ?
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14770人が本棚に入れています
本棚に追加