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「あのね、少しは俺の身にもなって。今日、これ以上一緒にいたら、どうなるか分かんないよ」
からかうように結城の瞳を覗き込んだ。
今度はどんな反応をするかと、少しワクワクしながら見つめていると――。
「……ゴクリッ」
「……」
結城の喉が大きな音をたてて上下した。
口を真一文字に結んで強張った表情をしている。
「ははっ。すげー音」
たまらず笑うと、結城は顔を真っ赤にして俺を睨んだ。
恥ずかしさからか、唇が微かに震えている。
その様子に、ますます笑いがこみ上げる。
「……もう、先生笑い過ぎです!ひどい」
――おっと。
少し笑い過ぎたか。
口調は怒っていたけれど、悲しそうに目を伏せて結城は俺から視線をそらした。
そのまま、リビングの出口へ向かって歩き出す。
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