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――あ、あ。
やばい。
慌てて結城の手首を掴んだ。
「結城。ごめん、悪かったよ」
結城の肩を掴んでくるりと俺の方へ向き直すけれど、顔は横を向いたまま。
膨れた頬が、かなり怒っていることをアピールしているかのようで。
……少し、デリカシーに欠けたかも。
女の子だもんな。
生唾ゴクリを笑われたら恥ずかしいだろう。
普段だったら、俺もあそこまで笑わなかった。
「……ちょっと俺も浮かれてた」
と、思う。
「お前と、こうしていることに」
好きな娘と気持ちを確認し合って、浮かれて、テンションが高くなって。
いい大人が、まるでガキ。
俺の言葉に、そっぽを向いていた結城が顔を戻した。
澄んだ瞳で見つめられ、自然と結城の頬を撫でる。
「……明日、どこか行くか?」
無意識に、言葉が口をついて出た。
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