バック・トゥ・ザ・クリスマス

25/32
前へ
/289ページ
次へ
――あ、あ。 やばい。 慌てて結城の手首を掴んだ。 「結城。ごめん、悪かったよ」 結城の肩を掴んでくるりと俺の方へ向き直すけれど、顔は横を向いたまま。 膨れた頬が、かなり怒っていることをアピールしているかのようで。 ……少し、デリカシーに欠けたかも。 女の子だもんな。 生唾ゴクリを笑われたら恥ずかしいだろう。 普段だったら、俺もあそこまで笑わなかった。 「……ちょっと俺も浮かれてた」 と、思う。 「お前と、こうしていることに」 好きな娘と気持ちを確認し合って、浮かれて、テンションが高くなって。 いい大人が、まるでガキ。 俺の言葉に、そっぽを向いていた結城が顔を戻した。 澄んだ瞳で見つめられ、自然と結城の頬を撫でる。 「……明日、どこか行くか?」 無意識に、言葉が口をついて出た。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14770人が本棚に入れています
本棚に追加