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おでこから唇を離すと、まるで熱に浮かされたようにぼんやりした瞳で、結城が俺の口元を見つめていた。
そんな目で見られたら、せっかく抑えた俺の欲望がまた疼き出すじゃないか。
本当にそろそろ戻らないと。
「よし。じゃあ、今日はもう戻るぞ」
そう言って部屋に戻ろうとする俺を、結城はまた引き止めて。
その無防備さが危険なんだって、何度言ったら分かってくれるんだ、こいつは。
そんな俺の悶々とした気持ちになんて気づくこともなく、結城は俺の携帯番号を知りたいと言ってきた。
拍子抜け。
その純粋すぎる要求に、自分の不純な欲望を反省。
気を取り直して携帯番号を交換し、今度こそ部屋に戻るためリビングを出た。
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