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何度も何度も部屋に戻ると急かしていたけれど、いざ、お互いの部屋の前に立つと、別れが名残惜しくなるから不思議だ。
２階に上がり、それぞれの部屋のドアの前に立つと、そんな青臭い感傷が胸に広がった。
「じゃあ」
このままずっと一緒にいたいと思う気持ちを振り切るように、結城に声をかけた。
「……おやすみなさい」
気持ちが漏れなく顔に出る結城は、明らかに残念そうな表情。
その正直すぎる態度、ここまでくると逆に羨ましくすら感じてくる。
結城が犬なら、今、絶対、耳としっぽが垂れ下がっている。
想像するとおかしくて、思わず吹き出しそうになるのをなんとかこらえて、俺はドアノブに手をかけた。
「……先生」
そんな俺を呼びとめる結城の声。
柔らかい表情で俺に微笑みかけながら、吐息を吐くように呟いた。
「先生……大好きです」
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