14773人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
――パタン。
扉を閉めた途端、壁にもたれかかりながら、ずるずるとその場に座り込む。
何、口走ってんだ、俺は。
つい今しがた、結城に向けて発した自分の言葉を思い出し、恥ずかしさで頭を抱え込んだ。
『俺も好きだよ』とか……クサいだろ。
キザ過ぎるだろ。
「かー……鳥肌立つわ」
ぶるるっと身震いが起きる。
普段なら、絶対言わない、あんなこと。
口が滑った。
できることなら時間を戻したい、とまで思うのに――。
「……ふ」
気を抜くとほころぶ口元を、慌てて引き締める。
しかしすぐまた、俺の口元は俺の意に反して緩み始める。
……そんなに嬉しいのか、俺は。
結城とこうなれたことが。
最初のコメントを投稿しよう!