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……まだ、諦めるのは早いんじゃない?
俺のせいで顔を赤らめているりおを見つめながら考える。
気持ちが通じ合ったからといって、教師と生徒。
問題は山積み。
先のことなんて、誰にもか分からない。
――けど、そんなことを言ったらりおは警戒して俺と会わなくなるだろう。
だから、今はあえてこう言う。
「……残念だけど、俺は諦めるしかなさそうだね」
弾かれたようにりおが顔を上げた。
ホッと安心したような顔が、ちょっとムカつく。
「いろいろ大変だと思うけど、頑張って。俺にできることなら協力するから」
「……うん。顕、ありがとう」
俺の言葉を本気で信じて、本気でお礼を言うりお。
かわいいりお。
だけどごめんね。
俺は、そこまでいいヤツじゃないから。
2人の間に少しでも陰りが見えたら、遠慮なく攻めていくから、覚悟してね。
――END――
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