顕の気持ち

8/8
14773人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
……まだ、諦めるのは早いんじゃない? 俺のせいで顔を赤らめているりおを見つめながら考える。 気持ちが通じ合ったからといって、教師と生徒。 問題は山積み。 先のことなんて、誰にもか分からない。 ――けど、そんなことを言ったらりおは警戒して俺と会わなくなるだろう。 だから、今はあえてこう言う。 「……残念だけど、俺は諦めるしかなさそうだね」 弾かれたようにりおが顔を上げた。 ホッと安心したような顔が、ちょっとムカつく。 「いろいろ大変だと思うけど、頑張って。俺にできることなら協力するから」 「……うん。顕、ありがとう」 俺の言葉を本気で信じて、本気でお礼を言うりお。 かわいいりお。 だけどごめんね。 俺は、そこまでいいヤツじゃないから。 2人の間に少しでも陰りが見えたら、遠慮なく攻めていくから、覚悟してね。 ――END――
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!