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キーンコーン、と朝のチャイムの音が流れるなか私は教室に向かってダッシュをしていた。廊下の壁には『廊下は走らない。』という紙が貼ってあるがそんなのはお構いなしにひたすら走る。
今日は三学期の初日、そんな日に遅刻したら間違いなく何かしらのペナルティを課せられるに違いない。……そんなのは絶対にごめんだ。
頭の中はペナルティを回避することしか考えられず雑に結んできたポニーテールが全力疾走により思い切り揺れて乱れていた。
今現在廊下を死に物狂いで猛ダッシュしている私、岩田 咲は小学三年生でこれでも一応女子だ。他の女子に比べると多少元気なせいかクラスの男子にはほとんど同類だと思われている。
「セ、セーフ……」
全力疾走の甲斐もあってチャイムが鳴り終わる前になんとか教室に滑り込んだ私は息を切らしながら自分の席に向かった。
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