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「森口和由です、よろしくお願いします」
転校生がそう言うとみんなが一斉に拍手をした。
「じゃあ森口君の席は一橋君の隣りね」
先生にそう言われて転校生は「はい」と返事をしてこちらに向かって歩き、私の斜め前の席に座った。いっちゃんは明るくよろしくねー、と挨拶を交わしていた。
私の心臓は相変わらず大きな音を立てている。
なんだろう、この気持ちは……自分ではよくわからず混乱している私をよそに転校生が後ろを向きこちらを見て爽やかに笑って言った。
「よろしく」
――これが、私達と彼の出会い。この出会いによって自分が変わっていくことをこの時の私はまだ知らないのだった。
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