小学生

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 いっちゃんは席が隣だったという事もあってその日のうちに森口君と仲良くなっていた。 そんな彼はいっちゃんの後ろの席だった私ともあっという間に打ち解けるのだった。  森口君は頭が良いだけではなく、明るくて愛想も良く運動神経も悪くはない。そんな非の打ち所のない彼はすぐにクラスにも溶け込んだ。  とても話掛けやすいタイプだったと思う。今日転校してきたのが嘘のような、ずっと前から友達だったような。そんな錯覚を起こしそうだった。   「イワやーん!ドッジやんね?」 「やる!」  休み時間になり、いっちゃんからドッジボールの誘いを受け私は校庭に出た。  この時うちのクラスでは、男子限定だがドッジボールブームが起こっていた。休み時間が始まると男子達は、校庭で熱い戦いを繰り広げている。  三年生にもなると、男女が一緒に遊ぶことも減ってくる。別に男女の仲が悪いわけではない。男女で楽しいと感じる遊びに違いが出てくるのだ。  女子たちは、休み時間までドッジボールするなら、教室でシール交換してた方が楽しいらしい。  でも私は、教室で可愛いシールを見たりするのが楽しいとは思えなかった。  他の女子と、自分があまりにも違い過ぎて自分は、性別を間違えて生まれて来たのかと思ってしまう。
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