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必死に働く少年は洋介だった。
二人はカウンター席に着くなり洋介の懸命に働く姿を見て感心した。
「凄いね…あの洋介が…」
夏美は、驚いた顔をして口を開いた。
「本当だね…中学の頃は、あんなに悪かったのに…」
将矢も驚きを隠せないようだ。
そんな会話をしていると大将の鉄が話かけてきた。
「いらっしゃい。」
「どっ…どうも、こんばんわ。」
二人は鉄に挨拶した。
鉄は、洋介に視線を送る二人を見て尋ねた。
「洋介の知り合いか?」
「はい。」
「そうか…ちょっと待ってな。」
そう言うと鉄は、洋介を呼んだ。
「おーい洋介!おめぇ、カッパ巻きを作れ。」
鉄の言葉を聞き。
「え!?俺が作っていいんすか!?」
と言った。
「おう。こちらのお客様にサービスで出してやんな。」
洋介は鉄の言葉にびっくりして、カウンターに二人の姿を見つけた。
「うっす!あざーす。」
そう言うと洋介は嬉しそうにまな板の前につき"カッパ巻"きを作りだした。
二人は、鉄にお礼を何度かいい、島田屋オススメの"穴子の握り"を頼んだ。
将矢がカッパ巻きを作る洋介を見ながら夏美に話かけた。
「まさかあいつの作った料理が食べられるなんてな。」
「だね。
いい大将の下につけて良かったね。」
「だな。」
と話をしている内に前から洋介が"カッパ巻き"を出してきた。
「へい!おまちぃ~」
「おっ!ちゃんと出来てるじゃん。」
夏美が言った。
「へへへ。」
洋介が照れたようすで洗い場に戻ろうとしたら、鉄が「おい!!お前の客だろ!?ちゃんと相手しねぇか。」と言った。
「えっ!!いいんすか?」
「おう。」
「ありがとうございます。」
洋介は、嬉しさを隠しきれずにやけながら将矢達と話をし始めた。
「今日は、マジ…サンキューな…」
「おう。」
「本当だよ~。私、暗い中西公園で待ってたんだからね!」
夏美の言葉に洋介の顔が一瞬変わった。
「わりぃわりぃ。
でも"マリファナ"だっけ!?夏美が一人の時来なくて良かったよ。」
「本当だよぉ。まっ…見つかる前に逃げたけどね。」
「…西公園…マリファナ…」
洋介は、思わず口に出してしまった。
「どうした?」
将矢は、真剣な顔をしている洋介に言った。
「あ?…あぁ…何でもないよ。」
「…」
洋介の様子がおかしいと思った将矢は夏美に
「夏美…そろそろ時間ヤバいんじゃないか?」
と言った。
将矢の言葉に
「え!?まだ全然…
あっ…そうだね。」
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