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「校内で騒いでいる草食獣の群れを追い払うだけだよ。あんまり長く校内に留まられると、式典の準備に時間を取られるからね。
行くよ、草壁。誉、校内の鍵貸りるよ」
「はい!!失礼します、会長」
そう言うと、雲雀と彼の右腕的存在である風紀委員会副委員長の草壁哲(クサカベテツ、通称・草壁)は「風紀」と金糸で刺繍された腕章を腕に着け、
各々トンファーと警棒を装備して、するりと生徒会室から出ていった。
その背中を見送りつつじと目で珈琲を啜る仁王に、もう一人の生徒会書記を勤める幸村千鶴(ユキムラチヅル、通称ゆっきー)が首を横に振りながら言った。
「先輩、諦めましょう。雲雀先輩が言い出したら聞かないのは何時もの事じゃないですか」
「そうじゃけどのぅ幸村。お前さん、もし自分の目の前に山積みの資料見たらやる気無くすじゃろ?」
「…はい。軽率な事言ってすみません」
げんなりした表情で机の上に鎮座するソレを見下ろし、両人が溜息を吐いているとノック無しで生徒会室の扉が引かれた。
現れたのは、黒髪朱眼の顔立ちが整った男性だった。
春先だと言うのに、黒いタートルシャツとモスグリーンのカーディガンを羽織っている。
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