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オシチが1mはある翼をバッサバッサと羽ばたかせて急接近していくと、釘を打っていた何者かがその気配を察したのかオシチに振り返る。
[一昨日来やがれでありんす!!喰らえ、アギダイン!!]
カっ!!と眩い光と共にオシチから発生した業火は、吸い込まれるように釘打つ影の背中にぶつかる。
と、もがき苦しむ影を包み込むように燃え盛ると業火はそのまま萎むように消えてしまった。
その調子で森林の木々の間をすり抜ける様に旋回し、次々と影をアギダインで迎撃したオシチは最後の一体に業火を打ち込み燃え尽きたのを確認すると、そのまま屋敷の方へと飛んで行った。
敷地を取り囲むように巡らされている垣根沿いに道を走り続けて行くと、漸く重厚な木製の門へ辿り着いた。
山門、と表現してもおかしくないような長い年月雨風に曝された雰囲気を窺わせる門の横に手作りの表札が掛っている。
『 三 枝 』
その下に、三匹の烏が円を描いている様子を模した呼び鈴がぶら下がっている。
その鈴を、誉がヘルメットを脱ぎながら右手で強く引いた。
カラン、カラン、カラン…
銅鐸を鳴らしたような音がもりの中を響かせていると、ゆっくりと門が内側へと開かれていった。
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