第一章 転校生現る

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先日起こった某大震災の影響で学校内の至る場所が省エネを実施している現在、この生徒会室も例外ではない。 天井の照明は消え、代わりに役員達の机上にはLECマグライト(携帯用)が設置されている。 そんな薄暗い室内において彼らは黙々と作業を進めていた。 何の作業か?そりゃ、もちろん。 パチン、パチン。 「新入生の栞って、あと何部必要なんだ?三好」 問い掛けたのは、生徒会会長である三枝誉(サエグサホマレ・通称カイチョー、誉さん)。 パチンッ、パチン。 尋ねられた生徒会書記である三好吉宗(ミヨシヨシムネ・通称ヨッシー)は、色とりどりの薄い色紙でコサージュをこさえながら応える。 「あと全体で256部必要です」 パチンッ、パチン。 それを聞いて辟易したように頭を振るのは、生徒会副生徒会長の仁王雅治(ニオウマサハル・通称プリ、ニオ)だった。 「たいぎいのぉ…(訳・めんどい)。そろそろ休憩せんか?俺、指が疲れてきたぜよ」 パチンッ、パチン。 手をプラプラする仁王の後ろを通り抜け、一人の役員がリーゼント頭の後輩を連れて室外へ出ようとする。 「見廻り?雲雀」 誉がホチキスで書類を留める手を休めると、生徒会会長補佐の雲雀恭弥(ヒバリキョウヤ・通称、恭さん)は僅かに顔を振り返る。
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